(B5判、270ページ、3月25日発行=拓殖大学百年史編纂委員会)
大学の正史とも言える本学の通史は「六十年史」に始まり、「七十年外史」~「八十年史」までであった。創立110年目を迎える本年、実に30年ぶりの通史発刊となる。この間「部局史」「資料編」などのほか、小冊子を入れると計100冊を世に出した。しかし通史の「百年史」としては、この明治編が第1巻となる。
次いで7月に第2巻となる「大正編」が、そして10月には第3巻「昭和前編」を相次いで刊行し、11月6日の創立110周年記念式典に間に合わせたい計画のようだ。また、第4巻となる「昭和後・平成編」は、2011(平成23)年3月までに完成するという。
今回の「明治編」であるが、これは拓殖大学の前身台湾協会学校がいかにして生まれたか、その背景となる「近現代史の中の拓殖大学」(第1節)が達意の文章力によって読みやすく解明されてゆく。
日清戦争の代償として与えられた台湾の統治経営。この時代的要請に応えて台湾民衆の中に入って活躍できる青年官吏・実業人養成を目的とした台湾協会学校が設立される。
そして桂太郎、児玉源太郎、後藤新平、新渡戸稲造など多くの人脈との密接かつ強力な関係を説く。開校3年目の明治三十七八年の「日露戦争」と烈士脇光三に始まる卒業生在校生による従軍通訳96人の活躍は、やはり拓殖大学創世紀のハイライトであり、その特異性を描く。これは他の大学には見ることの出来ない歴史であろう。
海外雄飛を義務付ける学校だけに、台湾語・中国語(清国語)・朝鮮語は、外国語専門学校の趣きがあり、猛烈な学習によって外地で業務を遂行できる有為の人材育成の成果をあげていく―。また、学校草創期の学園生活や、教職員への思い出、海外で困難のなかにも初志を遂行していく卒業生の真実の姿を辿ることができる。
混迷の続く今日の日本。母校と明治の歴史から未来への一灯が見えて来るような気がしてならない。
「明治編」は2000部刊行、学内外の配布先も定まり、その他の希望者は大学購買会(文京・八王子)から1200円(送料別途)で入手することができる。この編纂委員会(藤渡辰信委員長)には松村豊学友会長を含め7人のスタッフが参加し、編纂委員会の編集代表は渡辺利夫学長である。事務方を含める編纂室長は福田勝幸常務理事となっている。
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